松山英樹(29=LEXUS)が、4バーディー、5ボギーの73で回り、通算10アンダーで今大会出場10度目で初優勝を飾った。

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グリーンジャケットを着てガッツポーズする松山(ロイター)
グリーンジャケットを着てガッツポーズする松山(ロイター)
前回優勝のダスティン・ジョンソンからグリーンジャケットを着せてもらう松山(ロイター)
前回優勝のダスティン・ジョンソンからグリーンジャケットを着せてもらう松山(ロイター)
グリーンジャケットを着てトロフィーを掲げる松山(AP)
グリーンジャケットを着てトロフィーを掲げる松山(AP)

アウト3675ヤード=パー36、イン3710ヤード=パー36


ホール
パ ー 36
松 山 34


ホール 10 11 12 13 14 15 16 17 18
パ ー 36
松 山 39

※・はパー、○はバーディー、◎はイーグル、△はボギー、□はダブルボギー

18番465ヤード、パー4

ティーショットはフェアウエー。第2打はグリーン右のバンカーへ。第3打をピンに寄せると、パトロン(観衆)から大きな拍手が起きる。第4打を前に、笑顔を見せる場面も。パーパットは外してしまったが、返しのボギーパットを沈めて優勝を決めた。日本男子のメジャー優勝は初めて。観衆の声援に、目には涙を浮かべていた。

マスターズで初優勝した松山(ロイター)
マスターズで初優勝した松山(ロイター)
優勝した松山(AP)
優勝した松山(AP)
マスターズ初優勝しキャディーと喜びを分かち合う松山(ロイター)
マスターズ初優勝しキャディーと喜びを分かち合う松山(ロイター)

17番440ヤード、パー4

ティーショットはフェアウエー。第2打で6メートルにつける。バーディーパットは届かず、パー。2位に2打差をつけて首位を守ったまま、最終ホールを残すのみとなった。

16番170ヤード、パー3

ティーショットはグリーンに乗せるが12・5メートル残る。バーディーパットは鋭い下りの傾斜で2メートルオーバー。パーパットを決めきれず、連続ボギー。15番まで4連続バーディーとしていた同組の2位シャウフェレが、このホールでトリプルボギー。2位となった9アンダーのザラトリス(米国)とは2打差となる。

15番530ヤード、パー5

ティーショットはフェアウエー。だが第2打を池に入れる。1罰打を加え池に近い位置からのアプローチ第4打は、グリーンに乗せられずエッジへ。グリーンわずか外からの第5打をパターで打ったが決められずボギー。同組のシャウフェレ(米国)はこのホールをバーディーとして10アンダーに伸ばす。12アンダーに後退した松山は、2打差に詰められる。

15番、第2打が池に入り、ドロップ処理をする松山(ロイター)
15番、第2打が池に入り、ドロップ処理をする松山(ロイター)

14番440ヤード、パー4

ティーショットはフェアウエー。第2打は4メートルにつける。バーディーパットはカップをかすめて通過しパー。同組の2位シャウフェレ(米国)が、このホールでバーディーを奪って9アンダーに伸ばす。その差は4打差。

13番、アプローチショットする松山(ロイター)
13番、アプローチショットする松山(ロイター)

13番510ヤード、パー5

「アーメン・コーナー」最後のホールはショットが乱れるが、幸運も重なった。ティーショットは左サイドの林に打ち込んだが、木に当たってフェアウエーに近いラフまで出てくる。第2打はロストボールの可能性もある花の植え込みの方向に向かったが、グリーン左奥のラフで止まる。この日さえているアプローチで、第3打をピンまで50センチに寄せてバーディー。この日2つ目のバウンスバックで、流れを失わず、通算13アンダーに戻す。

12番、バンカーショットする松山(ロイター)
12番、バンカーショットする松山(ロイター)

12番155ヤード、パー3

「アーメン・コーナー」2ホール目。ティーショットはバンカーに入れる。第2打はグリーンに乗せるも寄せきれず。5・5メートルのパーパットはカップ左を通過しボギー。通算12アンダーに後退。

11番505ヤード、パー4

神に祈るしかないといわれるほどの難しさから「アーメン・コーナー」と呼ばれる11~13番に突入。

ティーショットはフェアウエー。残り約205ヤードからの第2打は、グリーンをわずかに外す。残り18ヤードからの第3打をピタリと寄せてパー。

10番495ヤード、パー4

ティーショットはフェアウエー。第2打を8メートルにつけると、バーディーパットはわずか入らず。後半はパーからのスタート。2位とは変わらず5打差。

9番460ヤード、パー4

ティーショットはフェアウエー。残り90ヤード余りからの第2打を1メートルにピタリと寄せ、連続バーディー。通算13アンダーと2つ伸ばして後半に突入。2位のザラトリス(米国)との差は、スタート時よりも1つ広げて5打差として折り返した。

8番570ヤード、パー5

ティーショットは右ラフ。残り約260ヤードからの第2打は、硬いグリーンに止まらず後方にこぼれる。第3打は上りの傾斜を越え、1メートルに寄せる。バーディーパットを決めて通算12アンダー。スタート時点よりも1つ伸ばす。前半2つのパー5ホールで、ともにバーディーを奪った。9アンダーで2位のザラトリス(米国)とは3打差となる。

8番、ティーショットを放つ松山(AP)
8番、ティーショットを放つ松山(AP)
8番、バーディーパットを決めた松山(AP)
8番、バーディーパットを決めた松山(AP)

7番450ヤード、パー4

ティーショットは、打った直後に手を離すも、右サイドのフェアウエーに残る。残り115ヤードからの第2打を、1・2メートルにピタリとつける。だがバーディーパットはカップに蹴られてパー。

6番180ヤード、パー3

ティーショットを4メートルにつけてバーディーチャンス。だが、わずかに決められず、4ホール連続のパー。

5番495ヤード、パー4

ティーショットは左サイドのバンカー。第2打でフェアウエーに出し、残り約95ヤードの第3打はピン奥へ寄せきれず。5メートルのパーパットが残るピンチだったが、決めてパトロン(観衆)から大きな拍手が起きる。パー4としては距離の長い495ヤードと、難度の高いホールで、価値あるパーセーブ。

5番、パットを決めキャディーとグータッチする松山(AP)
5番、パットを決めキャディーとグータッチする松山(AP)

4番240ヤード、パー3

ティーショットはグリーンに乗せるも、ピン奥17メートルへ。長いバーディーパットを1メートルに寄せてパー。同組のシャウフェレがボギーで7アンダーに落とし、8アンダーで2位のザラトリスとは3打差。

3番350ヤード、パー4

ティーショットはフェアウエー。第2打は大きくグリーンをオーバー。第3打のアプローチは、上りの傾斜を越えて50センチ足らずにピタリと寄せて“お先”のパー。

3番、ティーショットを放つ松山(ロイター)
3番、ティーショットを放つ松山(ロイター)

2番575ヤード、パー5

ティーショットはフェアウエー。第2打をグリーン手前のバンカーに入れたが、第3打でピンまで1メートルにピタリと寄せる。難なく第4打のパットを決めて最初のバーディー。バウンスバックに成功し、スタート時と同じ11アンダーに戻す。一時は9アンダーとしていたザラトリス(米国)が3番で落とし、同組のシャウフェレは同じく2番でバーディーとし、2位で8アンダーの2人とは3打差。

2番、ティーショットする松山(AP)
2番、ティーショットする松山(AP)
2番、バンカーショットを打った松山(ロイター)
2番、バンカーショットを打った松山(ロイター)

1番445ヤード、パー4

スタート前から笑顔を見せるなど緊張した様子は見られず。同組は第3ラウンドに続き、世界ランキング6位の実力者ザンダー・シャウフェレ(米国)。日本語も少し話すことができるとあって、第3ラウンドでは日本語で会話する場面もあり、互いにスコアを伸ばした。同組選手には恵まれたといえる。

快晴の下、日本12日午前3時40分、2位に4打差をつけて最終組でスタート。ティーショットは右サイドの林の中へ。第2打は狭い木と木の間を抜け、フェアウエーに出す。エッジまで26ヤードからの第3打は寄せられず、ピンまで10メートル残す。パーパットは、わずかにカップの左を通過しボギー。通算10アンダーへと1つ落とす。2位で出て1、2番と連続バーディーのウィル・ザラトリス(米国)とは、あっという間に1打差に縮まる。 

1番、パーパットを外し悔しがる松山(ロイター)
1番、パーパットを外し悔しがる松山(ロイター)
1番、パーパットを外し悔しがる松山(ロイター)
1番、パーパットを外し悔しがる松山(ロイター)

 

松山英樹、通算10アンダーでマスターズ初制覇!/最終日詳細 - ゴルフライブ速報 : 日刊スポーツ

 

 

米メディア注目、キャディー早藤氏の「胸を打つ、すがすがしいシーン」とは
[2021年4月12日12時25分]

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、キャディー(手前右)と抱き合う松山英樹(AP)

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、キャディー(手前右)と抱き合う松山英樹(AP)

 

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、キャディー(左)と喜ぶ松山英樹(共同)

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、キャディー(左)と喜ぶ松山英樹(共同)

 

ゴルフの米男子ツアー、マスターズで松山英樹(29=LEXUS)が日本人初のメジャー制覇を成し遂げた。

世界中のゴルフファンが注目し、圧倒的な歴史と伝統を誇るマスターズ。その価値は特別で、特に米国では、大きく報じられている。

そんな中、1つのシーンが注目されている。

ESPNツイッターで、主役の陰にかくれていたものの、この偉業達成に絶対に欠くことのできなかった、ある人物にスポットライトを当てている。

松山が優勝を決めた直後の早藤将太キャディーの振る舞い。最終18番ホールで手にしていた黄色いピンを、右手で持って、ホールに戻す。その直後、一連の流れで緑色の帽子をとって、コースに向かってお辞儀した。このシーンを「ショウタ・ハヤフジがコースに頭を下げた」などと、動画ともに取り上げ、ツイートしている。

日本選手はスポーツの中でも、自然と頭を下げて周囲や、仲間に感謝を示す振る舞いをする。

同じメジャーチャンピオン、全英女子オープンを制した渋野日向子も、最初のホールに入る際に、お辞儀をしていた。

サッカーの長友佑都に至っては、仲間にも浸透させ、ゴール後のパフォーマンスの1つにしていた。

早藤氏が、松山を勝たせてくれた名門コースに、お礼の気持ちを伝えたのか、拍手を送ってくれたパトロン(ギャラリー)に思いを伝えたかったのかどうかは、分からないが、胸を打つ、すがすがしいシーンだった。

実際に文化の違う海外でも、そう感じさせ、受け入れられているようだ。

松山の偉業は、日本人初という形で強調されがちだが、たとえ日本人初であってもなくても、ひそかにではあるが、支える人のこのような振る舞いにスポットライトが当たることも、誇らしくなってくる。

松山の明徳義塾高-東北福祉大の後輩でもある早藤氏は、松山の晴れ舞台、グリーンジャケット・セレモニー(優勝セレモニー)もグリーンの脇で、正座して真っ正面から見つめて、受け止めていた。

松山と、そしてマスターズという歴史ある大会、ゴルフそのものへの敬意をあらわし、正座で、背筋をピンと伸ばしているようにも見えた。

◆早藤将太(はやふじ・しょうた)1993年(平5)10月7日生まれ。明徳義塾高-東北福祉大と、高校大学ともに松山の後輩。アマチュア時代からジュニアの大会で実績を残す。プロとして中国ツアーなどで腕を磨いていた17年ごろからキャディーとして起用されるようになり、19年から専属キャディーに。

 

米メディア注目、キャディー早藤氏の「胸を打つ、すがすがしいシーン」とは - 米国男子ゴルフ : 日刊スポーツ

 

 

 

青木功「いい話」コースにおじぎした“門下生”早藤将太キャディーを称賛
[2021年4月12日20時41分]

優勝した松山英樹(左)は早藤将太キャディーを抱きしめる(ロイター)

優勝した松山英樹(左)は早藤将太キャディーを抱きしめる(ロイター)

早藤将太キャディー(左)、松山英樹(ロイター)

早藤将太キャディー(左)、松山英樹(ロイター)

<米男子ゴルフツアー:マスターズ>◇最終日◇11日(日本時間12日)◇米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC(7475ヤード、パー72)◇有観客開催

日本ゴルフ界のレジェンドで、男子ツアーを主管する日本ゴルフツアー機構の会長でもある青木功(78)と、松山英樹のマスターズ優勝をサポートした早藤将太キャディーには浅からぬ縁があった。

実は早藤氏は青木功ジュニアクラブの出身の“青木門下生”。青木は、松山のマスターズ優勝をテレビで見届けると、すぐに早藤氏に祝福メッセージを送ったという。青木ジュニアクラブでは「礼儀が一番大事」と教えており、青木は「彼は子どもの頃から礼儀正しかった」と振り返る。今回の最終日18番ホールで早藤氏がコースにおじぎした姿が話題になったことを受けて、「いつでも感謝の気持ちを忘れない。本当にいい話だ」と目を細めた。

今年1月、帰国していた早藤氏が「(新型コロナによる)自粛生活は大変です」とこぼすと、青木は「頑張るしかない!」と励まし、米ツアーへ送り出したという。

 

青木功「いい話」コースにおじぎした“門下生”早藤将太キャディーを称賛 - 米国男子ゴルフ : 日刊スポーツ

 

 

 

“もらい泣き中継”55秒の沈黙に松山との10年「実況が邪魔」小笠原アナ
[2021年4月12日18時0分]

 

TBSでのマスターズ・トーナメント実況を担当した小笠原亘アナウンサー

TBSでのマスターズ・トーナメント実況を担当した小笠原亘アナウンサー

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、記念撮影する松山(右から2人目)と「チーム松山」のメンバー(AP)

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、記念撮影する松山(右から2人目)と「チーム松山」のメンバー(AP)

 米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、トロフィーを手に笑顔の松山(AP)

米ゴルフのマスターズ・トーナメントで、日本男子初のメジャー制覇を果たし、トロフィーを手に笑顔の松山(AP)

 

<米男子ゴルフツアー:マスターズ>◇最終日◇11日(日本時間12日)◇米ジョージア州オーガスタ・ナショナルGC(7475ヤード、パー72)◇有観客開催

ゴルフに導いてくれた男が、西日を浴びるグリーンで歴史をつくろうとしていた。ウイニングパットを沈める。この10年、松山英樹が優勝した時にしゃべることを考え続けてきた。それが運命だと思っていた。ただ、気持ちはあふれすぎた。

米男子ツアー、マスターズで松山英樹(29=LEXUS)が日本人初のメジャー制覇を成し遂げた。その姿を生放送で伝えたTBSの実況&解説陣の“もらい泣き中継”が、米中継局のCBSでも流されるなど、大きな注目を集めた。解説の中嶋常幸宮里優作とともにメイン実況を務めた小笠原亘アナウンサー(48)には「放送事故ですね」と自ら話す55秒の沈黙もあった。実況者と選手、2人の10年間の歩みを聞きました。

    ◇   ◇

松山英樹、マスターズを勝ちました! ついに、日本人がグリーンジャケットに袖を通します。日本人が招待されて85年、ついに、ついに、世界の頂点に松山は立ってくれました!」

そう事実を伝えると、もう言葉が出なかった。目の前では観客、関係者の祝福を受ける松山の姿が映像に映し出されている。見ても、言葉が出ない。

「10年の道のりは決して平たんではありませんでした」。音声に次の実況を乗せたのは55秒後だった。もう涙声になっていた。隣の中嶋常幸は突っ伏して震えている。話題を振っても「はい…」とはなをすするような音。おえつとともに「すいません…。後半苦しかったから、本当に良かった」が精いっぱい。宮里優作も上を向いて涙をこらえていた。「どうですか?」と振ると、「ほんとにこんな日が来るなんてね」と何とか言葉をつなぐ。3人が涙に涙、「もらい泣き実況」はお茶の間にも、世界にも偉業のすごさを知らせた。

それから約6時間後、その実況の裏話を聞くと、「55秒ですか、放送事故ですね、それは…」と苦笑いした。「そんなに間を取るなんて、恐ろしいですね…。涙ですか、なんでだろう。『ありがとう』っていう涙、なのかなあ。勝手に個人的に思いこみだけで、松山選手のおかげで今があると思っていたので」。実況者と選手。2人にも10年の歴史があった。

初対面は10年のアジアアマ選手権。松山が優勝して、マスターズ切符をつかんだ大会で、ゴルフでは初のメイン実況を務めた。日本の出場枠10人の10人目で滑り込み出場した19歳は、後半の猛追で優勝し、オーガスタ行きを決めた。「会社がそのご褒美でマスターズに連れて行ってくれると」。現地では4日間、松山に付いた。詳しくメモを取っていくと、結果はローアマ。「必ず戻ってくる」と宣言して迎えた翌年のアジアアマ選手権も連覇し、その姿も実況した。プロになる前、まだ体が細かった頃から話を聞いてきた。「勝手に運命的なものを感じてて」。13年、国内ツアーで賞金を決めたカシオワールドオープンなど、節目には実況と快挙が重なった。

16年のマスターズ。この大会からメイン実況に抜てきが決まった。松山が最終日最終組の1つ前で優勝争いする姿を伝えながら、思いは確信になった。「絶対に僕の代で松山英樹の優勝をしゃべるんだと。絶対に僕の代で勝ってくれると」。

今年、初日を前にしたTBS中継班みんなの全体ミーティングで言った。「松山が勝つと思ってやろう」。勝ち星は遠かったが、機運を感じていた。東日本大震災から10年。11年のアジアアマで「少しでも僕のプレーで喜びを与えられたらと」と話す姿を思い出していた。さらに、「コーチをつけるのはよっぽどの事」。長年接してきたからこそ、覚悟を感じた。だから「今年やるんじゃないか」と口に出していた。

4日間はホテルと赤坂のTBSの往復。昼夜逆転でも、昼下がりにリフレッシュをかねて皇居を歩いた。「優勝したら何を話そうかな」。ためてきた資料はスーツケース1杯分あった。ただ、最終日は、その一切に目を通さなかった。4打差のリード。「松山選手の事ならいくらでもしゃべれるかなあ。それに任せてしゃべってみるのもいいかな」。気持ちが固まった。

マスターズはもともと、実況がなくても完結する唯一のコースだと感じている。「映像もきれい、鳥のさえずりも聞こえる特殊な場所。ショット音だけでも魅せられる場所というのは世界の中にもないと思う。実況が邪魔しちゃいけない」。常にその思いがあった。

確かに、松山のウイニングパットの直前も、鳥の鳴き声が聞こえる。ただ、55秒の沈黙は、まったく意図したものではなかった。考えていた優勝時のフレーズは口から出なかった。「勝手に僕がそう思っているだけなんですけど」と謙遜するが、実況席からその姿を伝えてきた時間が、あの55秒を生んだ。

今年は新型コロナウイルスにより、現地からの実況はかなわなかった。直接の祝福を言える機会は少し先になりそうだ。ただ、「もらい泣き実況」仲間の中嶋は放送後、「これでまたとんでもない選手になる。マスターズ、あと何回か勝つんじゃないかな」と予告していた。

「次は20秒くらいの沈黙で、すぱすぱいきますよ(笑い)」

冗談交じりも、予感は十分。また、感謝を込めて勝つ姿に声を重ねる機会を心待ちにしている。【阿部健吾】

小笠原亘(おがさわら・わたる)1973年(昭48)3月1日、岩手県北上市生まれ。東洋大をへて96年にTBSに入社。主にスポーツ中継に携わり、野球、相撲など幅広い競技を担当。12年ロンドン五輪ではボクシングの村田諒太の金メダルを実況した。現在はひるおび(火曜日)、炎の体育会TV不定期)などを担当。TBSラジオでは「ジェーン・スー 生活は踊る」の月曜パートナーを務める。スポーツ歴は高校で柔道(初段)、大学で競技スキー。

“もらい泣き中継”55秒の沈黙に松山との10年「実況が邪魔」小笠原アナ - 米国男子ゴルフ : 日刊スポーツ

 

 

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