W杯1次リーグH組 日本0―1ポーランド

フェアプレーの勝利だ! 日本が16強 ポーランド戦敗戦も2位通過で2大会ぶり突破
W杯1次リーグH組 日本0―1ポーランド ( 2018年6月28日 ボルゴグラード

 サッカーのワールドカップ(W杯)ロシア大会第15日は28日、1次リーグ最終戦が行われ、H組の日本(FIFAランク61位)はポーランド(同8位)に0―1で敗れたが、H組2位で2010年南アフリカ大会以来2大会ぶり3度目となる決勝トーナメント進出が決まった。前回大会8強のコロンビアが1―0でセネガルを下して勝ち点6とし、3位から首位に浮上して1次リーグを突破。日本はセネガルと勝ち点4で並んだが、反則ポイントの少ない日本が2位となり、16強入りが決まった。日本は日本時間7月3日午前3時キックオフの決勝トーナメント1回戦でG組首位(イングランドかベルギー)と対戦する。

 初戦で強豪コロンビアに2―1で勝ち、第2戦でセネガルと2―2で引き分けた日本は、ポーランド戦に勝つか引き分ければ自力で1次リーグ突破が決まる1戦。西野朗監督(63)は同じ先発メンバーで戦った1、2戦目とは先発6人を入れ替え、フレッシュなメンバーで臨んだ。主将の長谷部、これまでの2戦でゴールを決めた香川、大迫、乾、本田は全員ベンチスタートとなり、岡崎、宇佐美、武藤、酒井高、山口、槙野が今大会初先発。武藤、酒井高、槙野はW杯初出場となった。

 3試合連続先発となった柴崎がこの試合でも何度も効果的なパスを配給。2戦連続でミスしたGK川島も前半32分にグロシツキの決定的なヘディングシュートを右手一本で止めるなど存在感を見せ、前半を0―0で折り返した。

 後半に入ると、2分には負傷した岡崎に代わって初戦で決勝ゴールを決めた大迫を早くも投入。8分には相手のカウンターに遭いゴール前がぽっかり空く決定的なピンチを迎えたが、GK川島が飛び込んでキャッチしピンチをしのぐ場面もあった。だが、ポーランドは後半14分、クルザワがキッカーを務めた左FKにベドナレクがダイレクトで右足を合わせシュート。GK川島も必死に手を伸ばしたが、ボールはゴール右隅に突き刺さり、日本は欲しかった先制点を相手に奪われた。

 日本は後半20分、2人目の交代カードを切り、宇佐美に代えてセネガル戦でゴールを決めた乾を投入。37分には武藤に代えて主将の長谷部もピッチに入った。その後は無理に攻撃せず、突破のためブーイングに耐えながらボール回しに終始。アディショナルタイムの3分間もしのぎ切り、試合に敗れながらも決勝トーナメント進出をもぎ取った。



[ 2018年6月29日 01:00 ]

https://www.sponichi.co.jp/soccer/news/2018/06/28/kiji/20180629s00002014034000c.html





岡崎、後半早々退く…大迫と交代/W杯


後半、岡崎(左)と交代で出場する大迫
ボルゴグラード(共同)
 ロシアワールドカップ1次リーグH組(28日、日本−ポーランドボルゴグラード)今大会初先発した32歳の岡崎は後半早々に退いた。大会前から負傷に悩まされていたベテランFW。ピッチに座り込んで足を気にするそぶりを見せ、そのまま大迫と交代した。
 勝ち点4で迎えた第3戦。「どうやったらW杯で1次リーグを突破できるかというところに、まずフォーカスしている」と話していた。前半には長友の左クロスに飛び込んでゴールを脅かし、相手に囲まれながらも粘って球をキープ。2トップの一角として存在感を見せていただけに、惜しい交代となった。(共同)

http://www.sanspo.com/soccer/news/20180629/jpn18062900380004-n1.html






日本を救った長谷部誠キャプテンシー
2018.06.30 05:00





3大会連続でキャプテンを務める長谷部
のチーム調整力が光っている
(写真・ロイター/アフロ)

 2006年のワールドカップ・ドイツ大会に出場したジーコジャパンでキャプテンを務め、現在は古巣ガンバ大阪U-23チームの監督である宮本恒靖氏から、今年に入ってこんな言葉を聞いた。
「キャプテンとは監督を見ながら、チームのなかでリーダーを務められる選手。監督とは一人でほぼすべてを決断しなければいけない存在であり、だからこそキャプテンと上手くコミュニケーションを取らなければいけない」
 賛否両論が渦巻くなかで日本代表が決勝トーナメント進出を決めた、日本時間28日深夜のポーランド代表とのグループリーグ最終戦。試合終盤の西野朗監督とキャプテンのMF長谷部誠アイントラハト・フランクフルト)とのやり取りを見ていて、キャプテンと監督の両方を経験している宮本氏が発した言葉がロシアの地で具現化された、という思いを抱かずにはいられなかった。
 ポーランドが右コーナーキックを獲得した後半33分すぎから、リザーブに回っていた長谷部が慌ただしくピッチの外を動き出した。ゲームキャプテンのGK川島永嗣FCメス)の近くへ駆け寄って何かを叫んだかと思えば、慌ててウォーミングアップを開始する。
 この時点で日本は0‐1で負けていた。交代のカードは残り1枚。引き分け以上でグループリーグを自力で突破できる状況を考えれば、最後の一人として本田圭佑パチューカ)か香川真司ボルシア・ドルトムント)を投入するのがセオリーとなる。
 しかし、同時間帯に行われていた一戦で、コロンビア代表がセネガル代表から先制点を奪ったことを受けて、準備を急いでいた長谷部が同37分にFW武藤嘉紀マインツ)に代わって投入された。理由は明白だ。「17番」の一挙手一投足が指揮官のメッセージと化したからに他ならない。
 このまま試合を終えていい。余計なカードはもらうな。ミッションを完遂した先に待っていたのは、勝ち点、得失点差、総得点、直接対決の結果で並んだセネガルを、今大会から導入されたフェアプレーポイントで上回ってのグループHの2位死守だった。
「本人にはまだ直接伝えてはいませんが、長谷部にはぜひキャプテンをやってもらいたい。そういうプレーヤーだと考えています」
 初陣となる先月30日のガーナ代表とのワールドカップ壮行試合へ向けて、代表メンバーが発表された同18日の記者会見。西野監督がこう明言した瞬間に、フィールドプレーヤーでは最年長となる34歳のベテランが、3大会連続でキャプテンマークを左腕に巻くことが決まった。




開幕直前に岡田武史監督から突然ゲームキャプテンを任された、2010年の南アフリカ大会はややぎこちなさが目立った。当時の日本代表は不振が続き、悪い流れを断ち切る改革のひとつとして、ゲームキャプテンがDF中澤佑二横浜F・マリノス)からスイッチされた。
 しかし、岡田監督からバトンを受け取ったアルベルト・ザッケローニ監督のもとで、地位が人を作るとばかりに、チームキャプテンに指名された長谷部は特異なオーラを身にまとい始める。
 メンバー選考に関して相談を受けたこともあるザッケローニ監督とは、前回ブラジル大会までの4年間で厚い信頼関係を築き上げた。続くアギーレジャパン、そしてハリルジャパンでも引き続きキャプテンを務めた長谷部は、自分のなかで生じた意識の変化をこんな言葉で表したことがある。
「ブラジル大会のときはキャプテンを任されて、それほど時間がたっていないなかで、本当に手探り状態でした。今回のロシア大会に対しては、自分自身に、できるだけ責任というか、プレッシャーをかけてきた。プレッシャーが年々大きくなってきたという意味では、喜びは前回よりも大きいですね」
 長谷部にキャプテンを託した代表監督の国籍はイタリア、メキシコ、ボスニア・ヘルツェゴビナ、そして日本と言語も文化も風習も伝統もすべてが異なる。それらを超越する形で指揮官たちが魅せられてきた理由は、代表内にいつしか定着した「造語」に凝縮されている。
 誠実な人柄で誰からも尊敬の念を抱かれてきた長谷部だが、超がつくほどの真面目ぶりを目の当たりにすると、茶化したくなる思いにも駆られるのだろう。細かい点にまでこだわる立ち居振る舞いをした代表選手が、キャプテンをもじって『長谷部か!』と突っ込みを入れられるようになって久しい。
 ハリルジャパンではピッチの外でも奔走してきた。歯に衣着せぬ直言を厭わないヴァイッド・ハリルホジッチ監督と、厳しい要求を突きつけられることが少なくなかった国内組との間に立ち、チーム内の風通しを良好なものにする作業にも腐心したと明かしたこともある。
「監督は物事をストレートに話すので、選手それぞれの感じ方によっては、すごく勘違いされることもあると思うんです。だからこそ、特に若い選手たちに対しては、たとえば『考え方が違う人とつき合っていくことによって、自分自身が変われることもあるよ』という話はしています」
 選手たちの声に聞く耳をもたなかった感のある、厳格で頑固な性格だったハリルホジッチ監督も、長谷部に関しては「代役の効かない存在」と公言してはばからなかった。




「僕はどちらかと言うと、どの監督とも上手くいっちゃうので……」
 5人の歴代監督から変わらぬ信頼を寄せられてきた理由を自己分析しながら、長谷部は苦笑いしたこともある。だからこそ、チーム内の信頼関係がやや揺らいできたというハリルホジッチ前監督の解任理由を、代表人気や注目度が低下傾向にあった昨秋以降の状況とあわせて「キャプテンを任された人間として、強く責任を感じます」と深刻に受け止めていた。
「今回のワールドカップの結果で、日本サッカー界の未来が大きく左右されてくると思っている。個人的にはこれだけ長い間、日本代表にいますから、キャプテンであろうがなかろうが、自分のやるべきことは変わりません」
 ポーランド戦では大声に派手なジェスチャーを交えながら、腹をくくった西野監督の代弁者をピッチで務めあげた。あえて負けを選ぶ指示には戸惑った選手も、攻めたいと思った選手もいたかもしれない。それでもすぐに意思を統一し、自陣でのパス回しで淡々と消化したアディショナルタイムを含めた約10分間は、長谷部がもつ生粋のリーダーシップを抜きには成り立たなかった。(文責・藤江直人/スポーツライター



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決して博打ではなかった……賛否集まるポーランド戦西野采配の真相に迫る
2018.06.29 12:04



後半37分に長谷部投入した西野監督
これがメッセージだった。
(写真・ロイター/アフロ)

 耳をつんざくような大ブーイングのなか、1点ビハインドの日本がボールをちんたら回して時間を稼ぎ、有終の美を飾りたいポーランドがそれに乗っかった。
 ある意味、前回王者のドイツが韓国に敗れた以上の衝撃を受け、無気力試合の末にスコアレスドローに終わったフランスとデンマークの試合が可愛く思えるほどだった。
 誤解してほしくないのは、時間稼ぎや談合試合を嫌悪しているわけではないということだ。ルールに則っている以上、それは問題ない。
 しかし、今回の場合、日本は0−1で試合を終えても、1−0でリードしているコロンビアがセネガルに追いつかれたら、グループステージ敗退が決まるのだ。
 他力に委ねた談合試合――。極めて危険な、賭けだった。
 しかし、西野朗監督の判断は果たして、本当に大博打だったのだろうか……。
 ロシア・ワールドカップのグループH最終節。試合前の順位は、首位が勝点4の日本、2位は同じく勝点4のセネガル、3位は勝点3のコロンビア、最下位が勝点0のポーランドだった。
 ポーランドはすでに敗退が決まっていて、日本とセネガルはともに得点4・失点3。当該対戦でも引き分けているため、フェアプレーポイント(※警告は−1、警告2枚の退場は−3、一発退場は−4、警告のあとの一発退場は−5)によって日本が優位に立っていた。
 1、2戦目を同じスタメンで戦った日本は、6人を入れ替えてこの試合に臨んだ。引き分けでも決勝トーナメントに進出できるが、スタメンの選考に温情は一切ない、と西野監督は強調した。
「出てない選手を起用したいという気持ちだけでメンバー変更したわけでない。やれる、戦える、勝てる。勝ち上がることを前提で考えた。6人は良い状態だったし、同じようなチームスピリッツでやれる選手を起用した」
 GK川島永嗣のビッグセーブに助けられながら、日本のほうが決定機を多く作った前半を終え、ハーフタイムでも引き分け狙いではなく、あくまでも勝利を目指すことを確認した、と指揮官は言う。
「このままで良いという選択ではダメだとハーフタイムに選手たちに伝えた。守り切る考えはここに置いてピッチに出てくれ。アグレッシブに、攻撃的に勝ちに行く、そのスピリットを持ってピッチに出てくれ。このままの状況はあり得ない、と」
 後半が始まってすぐ、足を痛めた岡崎慎司がプレー続行不可能となり、代わって大迫勇也がピッチに入った。これで交代カードの1枚を使った。
 ゲームが動くのは、59分のことだ。FKからベドナレクに先制ゴールを決められてしまうのだ。このとき、同時刻にキックオフしたセネガル対コロンビアはまだ0−0。この時点でセネガルが首位に躍り出て、コロンビアが2位、日本は3位に転落した。
 その直後、宇佐美貴史から乾貴士にスイッチしたのは、あくまでも同点に追いつくための策だろう。この時点では、指揮官は攻めの姿勢を見せていた。
 事態が急変するのは、残り時間が15分ほどになった頃のことだ。
 コロンビアが74分に先制点を奪うのである。これでコロンビアが首位となり、勝点4でセネガルと並ぶ日本が、フェアプレーポイントの差で2位に浮上したのだ。



この状況をピッチ内に伝えるため、相手のコーナーキックでプレーが止まった際に、タッチライン際でアップをしていた長谷部誠長友佑都に近づき、「コロンビアがセネガルに勝っている。後ろはとにかく失点するな、あとイエローカードに気をつけろ」と耳打ちした。
 さらにその後、日本のベンチ前で給水しにきた選手に対して、香川がベンチから駆け寄って、他会場の状況を伝えている。
 そして82分、最後の交代カードとして、本田圭佑でも、香川真司でもなく、長谷部がピッチに送り出された――それが、すべてのメッセージだった。指揮官が明かす。
「長谷部には今の状況を伝えました。不用意なファウルは避けさせろ。4−1−4−1である程度ディフェンシブな形でバランスを取って攻めろ。時間を刻むなかでこのままでいいということを伝えろと」
 長谷部も「状況が変わったら、すぐに教えてください」と答えてピッチに飛び出していく。
 長谷部投入により、日本の戦い方は定まった。一方、ポーランドもこのまま試合が終われば、大会初勝利を挙げられるため、無理にボールを奪いにいく必要はない。こうして、前代未聞の他力に委ねる日本の時間稼ぎが始まった。
 あとは、コロンビアがそのまま1−0で勝つことを願うだけ――。
 記者席でも、目の前の試合より、他会場の途中経過を伝える手元のスマホが気になって仕方ない。スタジアムは次第に大ブーイングに包まれていく。
 
 アディショナルタイムが3分に達した頃、試合は予定調和のままタイムアップを迎えた。それから1分ほど経った頃だろうか。記者席のテレビ画面にはコロンビアの選手たちが喜び、セネガルの選手たちが崩れ落ちるシーンが映し出された。
 
 こうして日本代表は、決勝トーナメント進出というミッションを成し遂げたのだ。
 
 もっとも、試合後の会見で西野監督が見せた表情は、2大会ぶり3度目の偉業を成し遂げた指揮官とは思えないものだった。笑顔はなく、やや憔悴した様子――それは、いかに難しい決断だったかをうかがわせた。
「非常に厳しい選択。『万が一』の可能性はピッチ上でも考えられたし、他会場でも『万が一』があるわけで。選択をしたのは、そのままの状態をキープすること。このピッチ上で『万が一』が起こらない状況。間違いなく他力の選択をしたということ。負けている状態をキープしている自分、チームに納得いかない。ただ、選手たちはそれを全うしてくれた。いかなるブーイングにも負けずに状況をキープした。私のメッセージを忠実に遂行してくれた。あの状況を作ったのは選手ではなく、ベンチワークだった」


また、戦前に想定していなかったプランだったことも明かした。
「グループステージの1、2戦目を攻撃的に、アグレッシブに戦ってきて、3戦目で勝ち上がりを狙うなかで、この選択はまったくなかった。他力を選んだのは不本意。でも、選手に遂行させた。ただ、ワールドカップにはそういう戦いもあり、その選択が正解だったとすれば、勝負に勝ったということかなと。そういうフットボールもあって良いのかということを初めて感じたゲームであり、ワールドカップのグループステージを突破するうえでの究極の選択だったかもしれない。自力ではなく他力を選んだことには少し後悔があるが、今までのアグレッシブな戦い方に運がついてくれた、微笑んでくれたのかもしれない。選手たちにブーイングを浴びせながらプレーさせたということも、自分の信条ではないので、これからいろいろ伝えたいと思う」
 もし、コロンビアが追いつかれていたら、「なんて消極的な判断だったのか」と大批判を浴びることになっただろう。
 だが、果たして西野監督の判断は、危険な賭けであり、大博打だったのか――。
 コロンビアだってセネガルに追いつかれ、日本がポーランドに追いつきでもしたら、グループステージ敗退が決まるのだ。コロンビアも意地でも1−0の逃げ切りを図るだろう。しかも、先制されて焦ったセネガルは攻撃が空回りしていたのだ。おそらくその様子を日本のコーチングスタッフは、映像で確認していたに違いない。
 コロンビアが勝つ可能性と追いつかれる可能性――それを天秤にかけたとき、勝つ確率のほうが高いと踏んだはずだ。
 一方、日本が同点を狙いに行って、カウンターを浴びて失点でもしたら、ここまで積み上げてきたすべてが、一瞬でフイになってしまう。
 日本が追いつく可能性よりも、0−1のまま終わらせて、コロンビアの勝利に命運を委ねるほうが可能性は高いと判断した――。つまりは確率論であり、決して大博打でも、ましてや茶番などでもないだろう。
 そこに、「夢見がちなリアリスト」である西野監督の本質を見た気がした。




ヨハン・クライフを愛し、攻撃的なサッカーを好むロマンチストでありながら、その実、相手に合わせて戦略を練り、手元にいる選手に合ったスタイルで戦うリアリストなのだ。
 ここで議論すべきは、他力に委ねた時間稼ぎの是非ではなく、なぜ、このような状況を招いたか、だろう。
 先発メンバーを6人入れ替えたことに問題はなかったのか。例えば、サイドバックが本職の酒井高徳を右サイドハーフに入れたのは、おそらくポーランドの攻撃的な左サイドバック、マチェイ・リブスを封じたかったからだろう。相手のサイドバック対策として、守備力のある選手をサイドハーフに起用するのは、あり得ない采配ではない。
 しかし、リブスはこの日、ベンチスタートだった。そして、攻撃を組み立てるうえで日本の右サイドが機能していなかったのも明らかだった。指揮官はハーフタイムに引き分け狙いではなく、あくまでも勝利を目指すと強調していたはずだ。
 だとすれば、ハーフタイムに酒井高に代えて本田圭佑香川真司を投入し、先制点を掴み取りに行くべきではなかったか……。
 また、指揮官が言うように、日本は1、2戦を通じ、アグレッシブに、攻撃的に、闘志を剥き出しにして戦ってきたのは間違いない。その姿勢に、地元ロシアをはじめとする他国のサッカーファンも日本に好感を抱いてくれていたはずだ。
 だが、今回のゲーム運びによって、潮目が変わってしまったのではないか。
 ロシアの国営テレビの番組で司会者が「もう日本を応援するのをやめる」と宣言するなど、これまで「日本贔屓」だったサッカーファンが「アンチ日本」に変わった可能性がある。ベルギーと戦うラウンド16のスタジアムは、これまでとは違う雰囲気に包まれるかもしれない。
 振り返れば、02年日韓ワールドカップで日本はラウンド16に進出したが、スタメンとシステム変更が災いして、それまでの好ムードが途絶えてしまった。それは結果論かもしれないが、チームを取り巻く運気とはかくも簡単に消えてしまうものだ。
 だからこそ、ベルギー戦では自ら手放してしまった良い流れを再び引き寄せるために、これまで以上にアグレッシブで、攻撃的で、見るものを魅了するような熱い戦いを見せなければならない。さもなければ、あの雨の宮城でのトルコ戦のように、これまでの戦いがウソのように、あっけなく冒険を終わらせることになりかねない。
 いずれにしても、結果的にグループステージ突破というミッションを達成したうえで、選手6人を入れ替えたことで主力を休ませられたのは間違いない。香川が語る。
「良い休養になったと捉えています。次(ベルギー戦)が中3日でまたあるので、そこに全力を尽くして、良い準備をしたいと思います」
 もう一度、言う。ベルギー戦ではこれまで以上にアグレッシブで、攻撃的で、見るものを魅了するような熱い戦いを見せなければならない。
世界のサッカーファンを再び日本の味方に付けるような、勝利の女神に再び微笑んでもらえるような――。
 失望したサッカーファンに手のひらを返させる――それは、このチームが何より得意としていることのはずだ。
(文責・飯尾篤史/スポーツライター



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